大好評につき、3回目の開催となったTVアニメ『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』スタッフトークショー「ERDAのないしょ話」。
先日公開した前編に引き続き、8/2(土)に行われたトークショーの一部をイベントレポートとしてお届けします。
TVアニメ最終回が終わった今だからこそ話せることを聞き出そう!ということで、登壇者にお題カードを引いてもらい、回答してもらいました。
<登壇者>
・駒屋 健一郎(監督)
・梅原 英司(シリーズ構成)
・千野 孝敏(アニメーションプロデューサー)
・朝香 栞(キャラクターデザイン)
・森田 二惟奈(キャラクターデザイン)
・伊藤 渉太(プロデューサー)
※以下、最終回のネタバレがありますのでご注意ください。
Q. 前回のイベント開催時は、まだ多くを語れなかった「工部 レイジ」について、ここだけの裏話などを教えてください。
A. レイジのキャラ造形の時に常に考えていたのは、レイジは「タイセイがかっこよくなることをあきらめた姿・未来像」である、ということです。
(*タイセイ:「何かを守れるカッコイイ人になりたい」と願い、成長していくキャラクター)
レイジから見ると、タイセイは「まだ夢をあきらめていない昔の自分」として映るため、その対比で物語に深みが増していくと考え、2人の姿を描いていきました。
また、レイジのキャラクターデザインについても色々と検討を重ねていました。
レイジは、もし描かれるシリーズなどが違ったら主人公にもなりえるキャラだと思うので、主人公として見せられるキャラクターにするという視点は持ちながら作業していきました。図らずもタイセイと少し見た目が近くなってしまい、不採用となった少年時代のキャラクターデザインもあります。
Q. 放送尺や話数の都合で描けなかったが、こんなことを描いてみたかった・描く予定だったというエピソードなどがあれば教えてください。
A. ツクモやヤマトなど、後半に出てきたキャラたちをもう少し出してあげたいと思っていたスタッフは多かったかもしれません。
また、制作過程で削られたシーンとしては、例えば第33話でアカネが負傷した後に、マイと落合がアカネを看病するというシーンが実はありました。泣く泣くカットしましたが…。
Q. 第1話からは想像できなかった終着点にたどり着いた『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』ですが、物語の結末が現在の形に決まっていった経緯などを教えてください。
A. まず全体の話をさせていただくと、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』いう作品は、ざっくりですが「イナ編(第1話~第13話)」、「レイジ編(第14話~第35話)」、「ビーナ編(第36話~第39話)」という3つに分かれています。
レイジ編の終わりにレイジが運転する「ハーデスシンカリオン」を活躍させたいということは事前に決まっており、その後の話数で最終回に向けもうひと盛り上がりさせるべく、タイセイたちが立ち向かう存在として白羽の矢が立ったのがビーナでした。
一方で、元々アニメ全体の主題として「タイセイの成長・自立」を描いていくということも、シナリオを書き進める前の段階から既に決まっていました。この物語の終わりには、タイセイがビーナから巣立っていく姿・タイセイの元からビーナが離れる姿を描くことも必要だと考えていたこともあり、徐々に方向性が決まっていきました。
ただ、最初からタイセイがビーナを倒す話にしよう、ということで進めていたわけではなく、「これはタイセイの成長・自立の物話なのである」という軸は絶対にぶらさずに、そのために必要なことを選んでいった結果、その最善の方法があのようなラストであると考えた形です。
「ビーナ編」そして最終話についての案が出てきた時、駒屋監督からも「タイセイの成長・自立」というテーマをわかりやすく描くため、「何かを得るためには、何かを失う」という形にした方が伝わりやすいのでは、という意見をもらったため、あのような『シンカリオン』シリーズとしてはやや異質とも言えるラストとなりました。
「ビーナ編」そして最終話は、本当に様々な試行錯誤をしながら作っていったのですが、実は1975年に公開された『カッコーの巣の上で』という映画からもインスピレーションを得ていました。
今回も皆さんへの感謝の気持ちを込めて、まさに「ないしょ話」満載でお届けしたスタッフ―トークショーでした。
残念ながらご参加いただけなかった皆さんも、ぜひこちらのレポートで少しでもお楽しみいただけたら幸いです!
『シンカリオン』シリーズ10周年企画として、次回はTVアニメ第1期・第2期のスタッフトークショー「超進化研究所のないしょ話」を2026年2月に開催予定です。
こちらもぜひお楽しみに!